- 福留良尚
いわゆるプラトーについての見解
脳梗塞後の回復過程において「プラトー」という言葉よく聞きませんか?

一般的に脳梗塞後の機能回復は、発症から約1か月程度はスムーズに回復傾向を示し、その後徐々に回復が緩やかに生じます。
発症後3ヶ月程度でおおよその回復が生じ、6ヶ月を超えると劇的な変化が生じなくなると言われています。
この時期に残存した障害が、脳梗塞による後遺症といえます。
「では6カ月を過ぎたら何もしなくて良いか?」と言われると、そうではないのは周知のとおりです。
本日はいわゆるプラトーの時期にどのようなリハビリやトレーニングを行えばよいか考えていきましょう。
脳梗塞の回復過程
発症後すぐの時期は機能回復が大きい時期です。
ペナンブラやダイアスキーシスの存在によって、あたかも急激に脳が回復したように見えますが、実際は脳梗塞のショックによって一時的に機能が抑えられていたものが、通常運転に戻っていく過程を指します。
この時期から側芽形成といった脳の可塑的変化については以前の記事を参照してください。
プラトーとは
プラトーは、一時的な停滞状態のことを言いいます。
おもに筋力トレーニング時の停滞期を指し、語源は「高原:plateau」から プラトーに陥ると、今までと同じトレーニング内容にもかかわらずまったくと言っていいほど成績が向上しない。この原因は、休養不足、栄養不足などが挙げられる。
では、脳梗塞後のトレーニングが効果がないかというとそうではありません。
特にご高齢の方に多いこの後遺症は、ほっておくと悪化します!!

理由①「筋力が低下する」
後遺症によって動きづらくなると、これまでより動く頻度が減ります。
そうすると足腰は更に弱くなり、筋力が低下していってしまうのです。
理由②「体が固くなる」
同じような理由で体も固くなってしまいます。
特に大きく伸びをしたり体をひねったりすることが難しくなるので、どんどん固くなってしまいます。
リハビリが必要な理由
何となくネガティブな視点から問題提起をしましたが、専門のリハビリが必要な理由は別のところにあります。
それは「普段と違う体の使い方が出来る」からです!
脳は新しいことをする時に、そのネットワークを強化していきます。

逆を言えば、一辺倒なことを繰り返しても強化できません。
むしろ退化していくといっても良いです。
人は必ず年をとりますので、特に高齢の方が毎日同じ生活をしていたら、脳の細胞はどんどん少なくなっていってしまうのです。
そういった意味で、専門職のサポートの元、これまでとは違った運動や体の使い方をすることは、筋力や柔軟性だけでなく、脳のネットワーク強化に繋がるのです。
介護保険でのリハビリ
医療保険でのリハビリは、原則6カ月というのが法律で決められています。
ちょうどこのプラトーに入る時期と同じで、それ以降は介護保険を使ってリハビリを受けるというのが流れです。
ですが、週に120分までと決められており、尚且つ他の介護サービスとの調整が必要になります。
デイケアに通ったり、訪問介護サービスを使えば、それだけリハビリに消費できる点数が無くなってしまうわけです。
介護で点数を使うとリハビリに回せなくなる
そういう状況が、いわゆる「リハビリ難民」という言葉を生みました。

やりたくても介護保険では点数が足りない、医療保険は期限切れ。
だからこそ「自費でのリハビリ」も必要になってきたわけです。
プラトーではない
長い人生において、脳梗塞というイベントが起こる人は一定数存在します。
高齢化が進み、高血圧に対する薬が進歩すればするほどその数は増えるでしょう。
(意味が分からないという専門職は勉強しましょうね笑)
身体機能や脳機能は常に変化していますので、プラトーという言葉はそぐわないと考えています。
選択肢に応えられる専門職でありたいですね。
脳梗塞特化型リハビリセンターはな
理学療法士 福留良尚